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2012年4月10日 (火)

「言葉」‥11

「言霊(ことだま)」ということが最近あまり言われなくなったと感じているのは私の思い過ごしで
しょうか。
もっとも私が子どもの頃から言霊という言葉になじみがあったというわけではありません。高校く
らいまでは知らない言葉でした。ただ文芸の世界ではたまに誌面に登場する言葉としてありま
した。自殺する前の三島由紀夫が使っていましたし、野坂昭如なども言っていました。小林秀雄
はもっと前に言っていた。しかし今の作家でこの言葉を使うものがいるのかまったく知りません。
言霊とは言葉に宿る(と信じられた)力のことを言います。例えば言葉を発したらその通りのこと
が起こったというような。その場合言葉がものごとを予言したのではなく、言葉がそのものごとを
引き起こしたと言うのです。科学的な根拠はありません。ただそう信じたということなのです。
上の作家たちが本気で信じていたかは分かりません。ただ信じたいという姿勢を見せてはいた
といえます。今は信じたいという姿勢を見せる者がいなくなったということかもしれません。
今さら「言霊」を語るのも気が引けるからでしょうか、「義憤」を言うのは相変わらず平気でやって
いますが。‥‥
辞書を見るとわかりますが、言霊は非常に古くからあった言葉で、万葉集に「言霊の幸(さきは)
ふ国と語りつぎ言ひつがひけり」(言霊の霊妙な働きによって幸福をもたらす国と語り言い継が
れてきました)とあり、もちろん当時の我が国のことです。
では言霊は今や死語となってしまい使われなくなったのかというと必ずしもそうは言えません。
神主さんが使う祝詞(のりと)は霊験あらたかな言霊のことで、結婚式や地鎮祭などで今も語ら
れています。そして野球やサッカーの応援での声援、大震災の被災地への応援メッセージも考
えてみればこの言霊に縋(すが)る性質のもので、応援の言葉が力になると信じて皆これをして
いるはずです。もっと言えば、試験や競技の前に自分につぶやいて気持ちを落ち着かせる自己
暗示も言霊と言えるでしょう。
ところで、専門書によれば古代において「こと」とは「言」と「事」とをも指した言葉であったとあり、
私が述べました「ものごとの言葉による喩え」どころか同一のものだったということです。
‥‥私のあてずっぽうも言霊のなせる技に違いありませんね。

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