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2012年4月23日 (月)

「言葉」‥17

誰でもどこかで見たか、聞いたことがあると思いますが、「アキレスと亀」という問題があり
ます。前方に亀、後方にアキレスがいる位置から同時に前に走り出したとき、アキレスが絶
対に亀を追い越せないというものです。例えば亀とアキレスが100メートル離れてスタートした
として、亀がスタートした地点にアキレスが走って来たとき、亀はすでに3メートル前を進んで
いる。そしてまたその地点にアキレスが来たとき亀はやはり10センチくらい前にいる。そこに
またアキレスが来ても亀は数ミリ前にいる。‥‥こうしてこれを何度繰り返してもアキレスが
亀を追い越すことは決してできない、という話です。これは紀元前ギリシャのソクラテスと同時
代に活躍した哲学者であるゼノンが出した問題で「ゼノンのパラドックス(逆説)」と呼ばれて
いるものです。
さてこの問題をどう解けばいいのでしょうか(どこがおかしいのでしょうか)?
私が「言葉」のテーマでこの話を持ち出す理由ともなりますが、前々回の「とき(時間)」の話
にも大いに関係があることです。これには色々な答え方があると思います。
私が思ったのは、アキレスは常に亀が「過去にいた地点」にその後(未来に)来る形になって
いるので、つまり「過去の後追い」の繰り返しの構図(説明)なので時間的に追い越せるはず
がないというものです。この問題の話の進め方が、意図的に「時間後追い」を作り出していて
誤った設定だということです。これを数学的に解こうとして方程式を立てて何らかの不等式を
導こうとしたくなるかもしれませんが、それをすると大概うまくいきません。なぜなら問題の話
の筋道に目に見えない誤りがあるので、この筋道にそって方程式を立てても正しい答えが出
るわけがないからです。
そしてこの「アキレスと亀」の最大のポイントは、アキレスが亀を永久に追い越せないというこ
とを一見論理矛盾なく言葉で説明ができてしまうことなのでしょう。ゼノンも本当に言いたかっ
たのはそのことだったのではないでしょうか(問題を出して内心舌を出して一人悦に入ってい
るわけではなかったと思います)。
言葉はあるものごとを誤りなく結論まで導き出して説明し果(おお)せる性質を持っていて、
説明そのものから誤りを見つけることは実は容易ではないということです。さらに、それを話
す人が誤りに気付いている(悪意)場合もあれば、気付かずにいる(善意)場合も多いという
ことになるでしょう。

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