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2012年6月21日 (木)

「顔」‥1

今回から「顔」についてお話ししてみます。
顔とは面白いもので、一度でも仕事、学校、遊び等である程度の付き合いをした人の顔という
ものはなかなか忘れないものです。名前は忘れても顔は覚えているという経験を誰でも持って
いると思います。名前とは言葉のことですから、顔は言葉より覚え易い、あるいは言葉は顔よ
り忘れ易いと言えるかもしれません。ただ、顔と言っても、道ですれ違った人の顔、電車で向か
い側に座っていた人の顔、たまに行くコンビニの店員の顔、交番の警官の顔、などは覚えるこ
とはまずありません。自分が覚えるのは上記の「ある程度の付き合いをした人の顔」です。
しかし「ある程度の付き合い」がどの程度で、どの種類の、どの形の付き合いであるか、は決ま
ったものではないようです。仕事に行く途中で道ですれ違うだけの人でも毎回顔を合わせている
うちに覚えてしまいますし、コンビニも行く度に同じ店員であればやがて顔を覚えます。特に学
校や職場で年単位で顔を合わせていた人の顔はまず忘れることはなくなるようです。もっとも、
顔を忘れたら会っても忘れたことに気付かないので以上のような言い方は正確なものではあり
ません。従って、顔は名前よりも忘れないというのは、一般的にそう言えそうだということです。
そうした上での話です。
しかしながら、なぜ顔は名前よりも忘れにくいのでしょうか。昔読んだ本には、顔によって敵・味
方を識別し記憶するのは原始時代からの生存本能によるもので、簡単には忘れない仕組みが
動物として具わっているためだと書かれていました。当時はそれで納得したように思ったもので
したが、最近は、その忘れない仕組がどういうものであるのか気になるようになりました。と言う
のは最近は(この10年位ですが)やたらと「顔は知っていても名前が思い出せない」ことが多く
なったからです。そしてふと思い至ったのが、名前は固有名詞なので相手一人に一個の情報の
ものだが、顔は情報として名前とは比べものにならないほどの量があるためではないかというも
のです。
つまり顔の情報とは「顔の作り」ですから、眉、目、鼻、口、額、頬、顎、耳、顔幅、長さ、等々の
各部分に色々な種類の情報を持ちます。例えば眉ならその濃淡、上がり下がり、幅、長短、目
ならその大小、丸い細い、まぶたの一重二重、上がり下がり、目の間の幅、鼻ならその高低、長
短、太い細い、穴の形、口ならその大小、幅、唇の形、‥‥という具合に各部分が何通りかの種
類を持っているので、その組み合わせである顔全体では何万通り、いや何百万通りの種類(情
報量)が存在することになり、記憶はそれを保存していることになります。加齢で記憶力が落ち、
各部分の記憶の何割かが忘却していくのでしょうが、それでもまだ多くの記憶情報は残されるわ
けで、逆にまったく消えてしまう可能性はほとんどなく、だから一度覚えた顔は忘れることがない
ということになります。
これは最近某カルト教団の指名手配犯が相次いで逮捕された事件で、犯人が加齢と整形(?)で
大分顔が変わっているように見えたにもかかわらず、結局手配写真に似ていることが通報の決め
手になった事実でも示されたと言えるのではないでしょうか。

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