« ノーアイデア | トップページ | 「顔」‥6 »

2012年6月28日 (木)

「顔」‥5

顔写真を撮る時「はい!チーズ」と声をかけ笑顔写真を作ろうとするようになったのはいつ頃から
でしょうか。カメラメーカーかフィルムメーカーが仕掛け人だったと思いますがテレビコマーシャルで
「チーズ!」が連発されたのを思い出します。その後はレクレーション時の(結婚式の時の家族写
真でも)集合写真の撮り方の定番となりました。アメリカでは身分証明書写真も笑顔がベースだ(
本当かどうか知りませんが)ということでこのチーズ顔にこだわる人が最近は増えたように思いま
す。私などはアメリカかぶれも行き過ぎるとここまで来るかという思いで、逆に苦虫を噛みつぶした
顔を時にはしてやります。ある写真家は人物写真は作り顔は気に入らない、あくまでも自然で、人
柄がにじみ出ているものが良いと言っています。私も同感で、普段の生活のなかで見せている無
意識の顔が一番いいと思います(苦虫顔も意識的で不自然ということになりますね)。
高名な画家の人物画(自画像も含め)で「笑顔」は見たことがあるでしょうか。ダ・ヴィンチの「モナ・
リザ」は笑顔ではなく、そこはかとないほほ笑みで、深みのある自然さが伝わるからこそ名画なの
でしょう。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」もしかりで、この少女がニッと笑っていたらと思うと
冷や汗が出ます。「自画像」を多く描いたゴッホも笑顔は一枚たりともありません。耳を切り取るほ
ど人生の深刻さを感じていた画家に、笑顔という概念はそもそも無縁であったに違いないのです。
日本の浮世絵の顔は逆に歌舞伎役者(あるいは遊廓の花魁)の顔であり芸術的な作り顔(仮面)
と考えるべきであって、この顔の追求はそのまま美の追求です。ここにも拙(つたな)い笑顔など
決して出て来ません。ついでに言いますと、浮世絵の女性の顔が江戸時代の女性の美人の基準
だなどという俗説はとんでもないピント外れでしょう。これは仮面であり「おかめ・ひょっとこ」に通じ
る種類の顔です。素顔を隠し、哀しみを隠した作り顔なのです。それは浮世絵師の思いやりの産
物だと言えるでしょう。
私は笑顔が嫌いだと言うつもりはありません。思うに「笑い顔」は一瞬の顔で、発作的な動作とし
ての顔であり持続的な不断(普段)の顔ではありません。感情が吹き出した顔です。同じ意味で
その正反対が「泣き顔」です。従って、証明書に使う写真としてはどちらも不向きと言わざるを得ま
せん。あくまでも不断の顔に価値があるのです。
‥‥それにしても最近の総理の顔は「ドジョウの泣き面(ツラ)」ではないですか?
2


3


4


5


« ノーアイデア | トップページ | 「顔」‥6 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1627554/45970782

この記事へのトラックバック一覧です: 「顔」‥5:

« ノーアイデア | トップページ | 「顔」‥6 »