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2012年11月12日 (月)

「性格」‥12

   「性格」の類語に「品格」というものがあります。この7、8年ほどの間で「品格」は流行語にもなって

いるようですが、「品格」という言葉はもともと主に大人としての品位を語る場合に使われてきた、その

語り口自体が“品のいい”範疇の言葉としてあったと思います(つまり品のない人はそもそもこの言葉に

縁がないということだったでしょう)。それが、私の印象では、1980年代あたりから日本の金融・資本市

場において一流企業や国・公共機関が発行する債券の「格付け」が個人や機関投資家の重要な投資指標と

なってきたのに合わせて、人、職種、国柄などに対しても債券の格付けのようなニュアンスで「品格」を

語ることが従来の枠をはみ出してクローズアップされたという経緯だったように思います。また「流行語

大賞」などという馬鹿馬鹿しいコンテストがいつ頃からか年末行事になったことも背景だったのでしょう。

 もともとの「品格」の意味は、広辞苑によれば、物のよしあしの程度。品位、気品。‥となっていて他

の典拠でもおおむね同じです。ちなみに最近メディアで行われた「品格」人気投票ランキングでは男性一

位がイチロー、あと渡哲也、田村正和、高倉健‥‥女性一位が吉永小百合、あと松嶋奈々子、黒木瞳‥‥

でほとんどがタレントです。これは間違いなくテレビ文化の影響と言っていいでしょう。男性は「ダン

ディー=カッコよさ」、女性は「エレガント=優雅さ」という物差しによるものでしょう。しかしこれ

らはみな私達がマスコミ媒体(映像と記事)を通じて得た判断材料によるもので本物とは別のいわば「作

られた人物像」によるものです。もっと言えばそれはイメージとしての「流行」に乗っかったもので、実

体は何もない「空っぽ」というものです。こう言うと、「そりゃ辛すぎる、もっと楽しんで考えればい

んじゃないのか」と言うかもしれませんが、「品格」とはもともとそんな軽い言葉ではなく重厚さをも

たものだったのです。その意味ではもはや本当の「品格」は死語となってしまったのかも知れません。

もっとも国や企業の「格付け」にしてからが、最近のほんの数年で最上級から最下級へ転落することが相

次ぎ世界の金融市場が大混乱する事態を招いており、名だたる格付け機関による「格付け」の権威も地に

墜ちてしまったのですが‥‥。

 しかしそれよりこのことは「言葉」の運命なのかも知れず、むしろ現実には社会現象の方から「言葉」

の意味を変えていってしまうものなのかも知れません。考えてみればどの言葉も例外なく時代の変遷とと

もにその意味を変えながら今に至っているのは否定できないからです。そして変われなければその言葉は

消滅し、新しい言葉が生成してくるのだということが確かな事実だと思われるからです。ただし、この言

葉の生成消滅が常に向上傾向(:悪い言葉が消え、良い言葉が生まれる)の上にあるかどうかはまったく

係ないということもまた事実なのです。

 ‥‥とにかく私たちが考える以上に「言葉」は力を持つもののようです。巨大な文明を築きますが、大

国を滅ぼすこともするのですから。「品格」という言葉の跳梁も何かの兆しなのでしょうか。

<近所の公園の花と東戸塚の駅前オーロラモールのイルミネーションです>

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