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2013年7月30日 (火)

「性格」‥53

 一昔前の会社風景の一つに慰安旅行(社内旅行、職場旅行と呼び方は様々でしたが、製造業やサービス業

を問わずどんな会社にもあったもので、学校の遠足と同じものでしょう。また“慰安”という言葉について

は最近では違和感もあるかも知れませんが)というものがありました。日頃のそれなりに厳しい仕事を離れ

て、会社生活はこういう楽しいこともあるのだと“わざわざ”会社が執り行なってくれる大事な催し事でし

た。社員の旅行積立金と会社の援助金とで賄われていたと思います。

 さて、夜になって宴会となり、最初に職場の長(会社の規模や業態によりそれは社長、本部長、部長、支

長、工場長‥‥と様々でしょう)が挨拶をやります。そこで決まって言われる言葉が“今日は無礼講で

くやりましょう”というものです。そしてこの“無礼講”が人によっては後々運命を左右することになる

です。この長の方々はどれだけの意味を込めてこの言葉を使っていたのでしょうか。文字通りの意味は

身分・地位を無視して行なう宴会(大辞泉)」です。つまり、日頃職場において気を使っている上司・部

の区別をなくして今日の宴会を皆で楽しみましょうということです。わざわざ長の地位の人がそれを言う

は社員の慰安会なので全員がリラックスして心底から楽しんでもらおうとしてそう言ったはずなのです。

 さてこの“無礼講”の号令のもと酒を飲み始めると例の「本性」が出るのです。いやよく見れば、本性を

し過ぎる人、適度に出す人、ほとんど出さない人の三様なのでしょう。新入社員は日頃の遠慮勝ちが板

いてしまい、酔っても遠慮した様子は消えず時には遠慮したまま酔いつぶれたりします。長及びそれに近

ラインの人間は自信のなせる業からか、ゆったり余裕を見せながら寛いだ風情でいます。問題が起こるの

日頃何かと上と下との板挟みにある中堅幹部と古参の平社員のところです。彼らこそストレスとウップン

塊(かたまり)なのです。どんな組織であれこのような立場にいる人間は多かれ少なかれいるのです。そ

て彼らの全員ではなく特定の者がこの“無礼講”に過剰反応してしまうのです。‥「そうか、今日は誰に何

を言ってもいいのか。わざわざ本部長がそう言ったんだからな!」と大合点するのです。そして遠慮も緊張

も雲散霧消した気分となった時、やおら立ち上がるとラインの誰かを指差しながら「私はね、この際だか

ら、はっきり言わせてもらいますとね、☓☓さん、あなたがいつも仰ることはおかしいと私は思う!」とぶ

ち上げるのです。新人はキョトンとし、女子社員はア然としたり聞こえないふりをしたり、同僚は薄ら笑い

を浮かべ、指差された本人は苦笑しながらも動じず、他のラインからは非難がましい視線が注がれ、部長

は無表情で言わせるだけ言わせようという顔です。そしてこの無礼講社員は言うだけ言ってしまうと、あま

り気にした様子もなく座るとまた料理に箸を伸ばし、気を回した他の平社員が酌をしてくれるのを嬉しそう

に受けているのです。

‥‥そして半年余りして出たこの社員の転勤辞令に誰もが「ああやっぱりあの時の‥」と納得するのです。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

こんにちはsun
今日は暑いですね。
無礼講ってたくさん飲んでって言うだけで
好きな事を言って下さいってわけでは無いんでしょうね
でも、かなり酔うとやっぱり癖が出て話す人も居れば
黙ってしまう人も
本心を聞いて、辞令。黙秘権が欲しいデスね(~_~;)
本心は気の合う仲間とだけがいいかも♫
まだまだ続きそうです(*^^)v

今日は。
最近は慰安旅行がないどころか、社長ヘッドの社内飲み会でも
若い人は自由に欠席するらしいですね。就職天国の昔はこうい
うことは義務で勝手な欠席は許されなかったのが、就職地獄の
今は逆にこういうことでの束縛はないのも面白い現象ですね。

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