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2013年8月19日 (月)

「性格」‥59

「大和魂(やまとだましい)」という古い言葉があります。文献上ではこの言葉が最初に出てきたの

は『源氏物語』とされています。たまたま私は(この歳になって)今春からこの本を読み始めたので

すが、そこで言われる「大和魂」が現代の通念上の意味とはまったく異なったものであることに少し

驚きました。‥‥源氏は自分の長男である夕霧(ゆうぎり)が12歳の元服となるに当たって何よりも

まず学問を身に付けさせようとします。当時の男子の学問と言えば「漢学」(=四書五経を主とする

儒学等)のことです。そして漢学で得た基本的諸原理を、我国の実情に合うよう臨機に応用させる

「才(ざえ)=知恵・才覚」のことを「大和魂」と言ったのです。つまり源氏は夕霧を行く末は朝廷

政治を支える国家の重鎮になってもらいたく仕込もうとしたのが「大和魂」なのです。そして夕霧

は勉学にいそしみ幾つかの官吏登用試験も合格して期待通りの途を歩んで行くのです(これが出てく

るのはこの物語の前半の方の「少女(おとめ)」の巻の一箇所だけです)‥‥。

 この「大和魂」の意味が変わり始めるのは江戸後期の国学者達かららしいのですが、明治の近代

化が始まって国を挙げて「富国強兵」へ進むようになるとその流れのなかで「大和魂」もこれに平

仄を合わせる形で変質を遂げて行ったのです。結果的にはこれは「大和魂」にとって誠に不幸なこと

だったと言う他ありません。古語が近世になって似ても似つかぬ言葉に変わって行ってしまうのはよ

くある、“言葉の宿命”と言ってしまえば簡単ですが、まったく実に割り切れないものを感じざるを

得ないのです。現代において「大和魂」と言えば直ぐに思い起こすのは太平洋戦争における“神風特

攻隊”のことであり、その意味は「命を顧みず勇猛果敢に敵に突撃する心意気」のことになるのです

(私には昭和の「戦艦大和」の命名が「大和魂」の意味の変質をシンボリックに示したものだったと

思えます)。

 そして、今やこの「大和魂」という言葉が出てくるのは、特に過酷なスポーツ競技において選手を

鼓舞する“最強の言葉”として使われるのが専らとなっています。従って、最近問題となっている

校運動部の“体罰”にもイメージ的に通じる点があるとも言えるでしょう。スポーツの世界の典型的

な“根性用語(戦闘用語)”となっていると言っていいでしょう。‥‥いわば1000年の時を経

「大和魂」という言葉は、“最も高尚な知的用語”から“最も野蛮な戦闘用語”へ変質してしまった

と言っていいでしょう。

 私は今後近い将来において、国民が一丸となって本来の意味での「大和魂=現在の知識を国情に適

合させるべく臨機に働かせる才(ざえ)」を取り戻して「憲法改正(書き直し)」に取り組むことこ

そが今世紀前半で最大の(最終の?)“日本の起死回生策”となるのであろうと思います(今から

「漢学」を学べということではありません)。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

こんにちはsun
残暑も厳しいですね。
体調如何でしょうか。
大和魂初めの意味は今使っている意味とは
違っていたのですね(~_~;)
「才」難しい読み方、デスね読めませんでした(・。・;
知恵や才覚の事を大和魂と言ったのですね。
太平洋戦争の特攻隊も、スポーツ選手も
戦いぬくために冷静に、すばやく物事を判断し、知恵を働かせる
機転を利かせるって事がとちらも必要だからなのですね♫
大和魂の意味さえ考えて見た事が無かったので
とても勉強に成りました(#^.^#)

今晩は。
体調はまあまあ悪くないですね。
医者通いは毎週→2週間毎→3週間毎→1ヶ月毎と伸びて来て、
この秋の内に、何もなければ来なくていいとなるかもしれません。
まあこの病気は予断ができませんけれどね。
そんなわけで明日は横浜の知人と飲み会です。happy01notes

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