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2013年9月 4日 (水)

「ハチ」‥6

 ハチの常連同士がお互いにアダ名か通称で付き合いを済ませているのは、ある種の“すがすがしさ”があっ

てよくできた慣わしだと皆思っていましたが、時に思わぬ落とし穴もあるものです。

 翌日が休みの金曜日にはたまにあることでしたが、ハチで私を含め常連5人が夜1時過ぎまで飲んでいたためも

終電もなくなりました。今のようにネットカフェもなかった時代で、初夏の頃とは言えまさかホームレスのよ

に地下街にダンボールを敷いて寝るわけにも行かないので、タクシーを拾って家(会社の寮)に帰るしかあ

りませんでした。5人のうち1は自分の家(アパート)に帰ったのですが、他の3人は時間が遅すぎて会社の寮に

入れないので私の寮に泊めてくれと言うのです。割り勘でタクシー代を出し合い寮に2時過ぎに着いて、私の6

一間4人で雑魚寝したのですが、そのうちの1人ヤノちゃんだけは土曜日も出勤だったのです。朝7時前に目覚

めたらしく、そっと起き出して部屋を出て行く気配はかすかに感じました。

 ヤノちゃんはスンナリ出て行くつもりが、靴を履いたりする物音がしたためか玄関横の寮の管理人室から覗

管理人に呼び止められてしまいました。管理人は寮生とは違う見慣れない顔なので「アンタ誰や?」と声をか

けたのです。しかしヤノちゃんは「モーさん」以外に私の名前が出てこないので、しどろもどろ要領を得ない説

明をしているうちに、管理人に“寮荒らしのコソ泥”かと怪しまれてしまい、警察を呼ぶからと言われてしまっ

たのです。ヤノちゃんは「いや、そうじゃないんです、私が泊めてもらった知合いの部屋に行ってその人を呼ん

でくれば分かりますから!」と言ったのですが、管理人は袖をつかんで放そうとしません。

 そんなことで騒ぐ声が聞こえてきて(私の部屋は2階の出入口に近い場所でした)私はハッと目を覚まし、アレ

はひょっとしたら?と思い当たって玄関ホールまで降りて行くと、泣きそうな顔をしたヤノちゃんがいるのが

え、すぐに私は「ああ、管理人さんその人は私の知合いなんですよ!」と釈明してやっと事なきを得たのです。

寮生が会社の同僚を連れてきて泊めることはたまにあることだったとは言え、泊めてもらった本人の名前を知ら

ないことがあろうかと、その時に訝(いぶか)しげな顔を管理人がしていたのですが、また2時間ほどしてか

更に2人見慣れない人間を私が連れ出すのを見てどう思ったのかは知りません。

 翌週34日したころハチに行くとこの話が既に伝わっていて、お兄ちゃんから「モーさん、えらい迷惑なこ

やったなー」とねぎらわれ、やがてヤノちゃんが入ってくると「アンタ誰や!」とからかうのでした。

 

<この時ヤノちゃんにとってはそれどころではなかった、「朝日のようにさわやかに(Softly as in a Morning

Sunrise)」です。MJQ他多くのジャズメンの演奏がありますが、ここではソニー・クラークの演奏を載せて

おきます。この曲の“あわれみ”を最もよく出していると私が感じたからです。>

Photo_2Photo_3

http://www.youtube.com/watch?v=KUaOyC4h5xk

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心と体」カテゴリの記事

コメント

こんにちはnote
こちらはすでに雨です。そちらはどうでしょうかrain
そんな中紹介のジャズをPC出かけながら仕事してます~

本名を知ら無いけれど、とても良い仲間に成っている(#^.^#)
そんな仲間も素敵ですねshine

こんにちは。
ムシムシする不安定な天気ですね。rain
ジャズを堪能するには持て余す位の時間があるのが一番いいのですが
学生でもなければそんなことは難しいですね。私のようにリタイアして暇
過ぎるのも困りもんですが‥‥。人生の何かに対して“ハングリー”でな
いと中々ジャズのスピリットを体感し難いかも知れません。think(* ̄0 ̄)ノ

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