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2014年2月18日 (火)

「品定め」‥2

この巻の題「箒木(ははきぎ)」とは、遠くからは見えるが近寄ると見えなくなると言う空想上の木のことです。

これは人の世の物事の喩えなのでしょう。人間はある理想、目標を宛てにして進んでいくものの、そこに辿り着

いた途端それを見失って原野をさ迷うことになる‥‥あるいは源氏物語全体がこれに喩えられると言おうとし

ているのかも知れません。紫式部は最初からこのような哲学観(人生観)を持ってこの物語を書いたと言っても

いいのかも知れません。

 さて、源氏は今上帝(桐壺帝)の次男で17才、既に12歳で今上帝の妹と左大臣の間の娘(葵の上)と結婚して

います(今で言えば従姉との結婚ですが当時は普通のことでした)。その妻の兄(義兄、従兄)にあたる頭中将

(とうのちゅうじょう)は子供の頃から何くれとなく源氏に目をかけて、昼夜となく勉学や遊びを共にし源氏も

他の誰よりもこの頭中将に慣れ親しんでいて、お互いの私室にも自由に出入りして言いたいことは何でも話す間

柄なのでした。この二人は皇族(貴族)の家柄で後々には朝廷の重要な地位に昇り詰めて行くのです。

 そんな梅雨時のある夜、暇を持て余している源氏の私室に頭中将がぶらりと訪れてみると、源氏が何やら女性

からの手紙(ラブレター)らしきものを整理しているのを目にします。興味を引かれた頭中将はそれを見たがる

のですが、源氏は見られてもいいような無難なものしか見せません。つまりこの時既に源氏には複数の交際相手

(今の基準では計れませんが軽いのから重いのまで)がいて、文通をしたり夜通ったりしていたのです(結婚し

ていてもそれが許される世だったのです!)が、そういった形跡が手紙として残っているということです。一見

世間並みの色恋沙汰と無縁な貴公子のような源氏にも実は悩ましい恋のふるまいの面があったのです。‥頭中将

当り障りのない内容のものでなく、心情(恋情)を吐露したきわどい、面白そうな手紙を予想したのですが、

源氏は高貴な方(藤壺の宮)からのものは隠し、差し支えないようなものばかり見せます。頭中将はその色々な

手紙を見て当て推量に、「これはあの女からか」とか「こっちはあの女か」などと詮索し、見当違いもあれば言

い当てるのもあって源氏は内心ハラハラしながらもどうにかごまかして、手紙をしまい込んだのでした。

 そして今度は源氏が「あなたの方こそたくさん手紙を持っているのでしょう、それを見せてくれたら私も隠し

ているものまで見せますよ」と逆に切り出します。すると頭中将は「いや見せるに値するようなものはありませ

んね。‥‥それと非の打ちどころのない女性など滅多にあるものではないこともようやく分かってきました」な

どと言い出したのです。さらに、「字がさらさらときれいに書けたり、その場その場で如才がないなどは、身分

次第でいくらでもいますが、本当にその面で優れている人を見極めようという段になると文句なしに目にかなう

ことなどまずありません。‥‥自分の自慢ばかりして人を悪く言って見苦しかったり、親や世話をする人から

甘やかされながら身に付けた技芸ぐらいで心惹かれる男もいるかも知れませんが、‥‥いざ付き合ってみると

がっかりしてしまうということばかりなのですよ」と自信満々に自分の豊富な経験から語るのです。また源氏が

「いったいまったくとりえのない女の人がいるのでしょうか」と聞くと「それが最初から分かっていれば誰も

り付きませんよ。まったくとりえのない人とまったく完璧な優れた人というのは共にまずいるものではないと

えばいいでしょう。‥そもそも上流の生まれの人は大事に育てられて欠点も隠され自ずから格別な扱いとな

いるものです。中流の生まれの中にこそ気性や考え、好みも表に出てはっきり見極められる人がいるのですよ。

下層の身分の人ともなれば取り立てて注意することなどありません」と、すべてを知り尽くしている面持ちで語

るのです(頭中将も右大臣の娘と既婚の身です!)。

 源氏は、出世したり落ちぶれたりの栄枯盛衰が多い世の中でその上、中、下の類別もそれはそれで難しいので

はなかろうかと尋ねだした時、宮廷に仕える気の置けない仲間である左馬頭(ひだりのうまのかみ)と藤式部丞

(とうしきぶのじょう)がやって来ました。二人ともこのようなことの通人でおまけに口達者ときているので、

いよいよ女の品定めの話が白熱化しそうな雲行きです。

<スナップは1月に行った鎌倉・長谷寺でのものです。春から秋まで様々な花が咲き乱れるところですが、この

時期は咲いている花はありませんでした。少し高台にありますので由比ヶ浜の海も間近に見下ろせます>

Dsc_0807(観音堂)


Dsc_0802(阿弥陀堂)

Dsc_0812(千手観音)

Dsc_0822(経蔵)

Dsc_0803(鐘楼)

Dsc_0816(由比ヶ浜の眺望)













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コメント

こんばんはnight
また今夜から冷えそうですよ
風邪を引かない様に気を付けて下さいね(#^.^#)
読んでいてとても面白いです
源氏物語では無くって
韓ドラ観た事ありますか?トンイって韓国の時代劇があるのですけれど
なんだかその物語を呼んでいるような感じがしてきて
皆空さんのお話が小説を読んでいるように面白いです
続きが読みたいって思えます。
愈々品定めのお話がさく裂デスね
次回も楽しみです~
写真も素敵ですね
経蔵ですか18日に廻せますって書いてますね
昨日でしたね(*^_^*)
上から見える海が綺麗wave

こんばんは。
韓ドラは「チャングム」は見ましたね。あの女優は今どうしてますかね。
源氏物語を古文で紹介したらとも思ったんですが、そしたら誰も私のブログ
見なくなるんじゃないかと思いまして‥‥特に面白かった箇所を今風に砕い
た文でやってみることにしました。それでも上手く砕けず、堅苦しくなってしま
うんで申し訳ありません。coldsweats01sweat01
そうそう、先週カルチャー教室でも「源氏物語」を10頁も読まされまして、冷や
汗モンでしたが、無事読み果せ、先生にも褒められましたよ(読み方で褒めら
れたのは小学2年以来です。おだて半分ですが)。'`,、('∀`) sign01happy01

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