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2014年2月 4日 (火)

「ハチ」‥35

「ハチ」シリーズもこの辺で切り上げようと思います。私のような“団塊の世代”(この呼び方は好き

はないのですが)から見てのジャズ喫茶の今昔物語のような話を少ししてみましょう。日本の昭和40年代は

ジャズ喫茶の黄金時代と言ってもよかったと思います。高度成長に伴って社会全体に“ハングリー”感が覆

っていて、特に東京や大阪といった都会には時間はあり余っていてもお金がない学生が溢れていました(学生

運動の嵐も起こるべくして起こりました)。彼らの行動パターンは、バイトをする、パチンコをする、麻雀を

する、映画を見る、恋人漁りをする、下宿(間借)でボーっとしている、というものでした(学生ですから勉

強が本業ですがそれは書くまでもないことです)。そして、それらの中に少数派ですが“ジャズに凝る”とい

うのもいました。凝り方は色々で、ラジオのジャズ放送を聞く、ステレオを持っていてジャズのLPレコードを

聞く、ジャズ喫茶に入り浸る、というのが主なパターンでした。私はといえば大学3年目に留年し、暇を持て

余す生活状態になった時のある日、間借りの6畳間でうたた寝をしている時にラジオから流れてきたジャズを

ふと耳にしたのがこの音楽にハマるキッカケでした。それまで耳にした歌謡曲やクラッシック、その他の軽音

楽などの何れとも違う不思議なリズムとメロディーを持った音楽を聞いていると、終わりに曲名と演奏者名の

説明があり初めてそれがジャズ(モダンジャズ)だと知ったのです。それからは毎週決まった時間のジャズ番

組を忘れない限りはよく聞くようにして、耳も肥えていったような気がします。それと同時に、それまでは入

るのに何か違和感(孤独な暇人で溢れているという異様さ)を感じたジャズ喫茶にもそれほど抵抗なく入るよ

うになりました。そして、前にも述べた、ジャズは(哲学と同じく)性欲の変形だという感慨を何の疑問もな

く抱いたのでした。“プロテスト・ソング”といえば反戦フォークをまず連想するかも知れませんが、理由が

不明な反抗気運のようなものが心の奥深い処にこもるという点では、ジャズこそがプロテスト・ソングの本質

的性格を具えていたように感じます。日本では70年安保闘争の終焉とともにプロテスト・ソングの存在理由が

消滅に向かうのと歩調を合わせるようにジャズブームも下火となっていき、あれ程たくさんあったジャズ喫茶

も急速に数を減らしてしまうのも、このことの符合を強く印象付ける事象であったように思います。昭和40

代のハングリーな社会的雰囲気とジャズ喫茶の隆盛とはやはりどこかで濃密につながっていたものだったと言

っていいでしょう。

 ちなみに、私の一回り上の年代の人達においては、ジャズは進駐軍とともに入ってきたスウィング・ジャズ

のことで、ダンスホールで踊る音楽だったのであり、プロテスト・ソングというような意味合いはまったく

薄なものだったようです。後年「ハチ」でその年代の人とジャズ談義をするようになってそのことが分かった

のです。それと私らの年代の人間が持っているジャズのスピリットも、時代性を帯びた特殊なものらしいこと

も何となく分かってきました。私らのモダンジャズも既に歴史的な音楽となってしまった観があるのです。今

でも若いジャズファンはいますが、私らが感じたジャズの持つ“反社会的スピリット”を彼らに説いてもま

ったくピンとこないことは請け合います。

 そしてジャズ喫茶の黄金時代は再び巡ってくるでしょうか。それはまず99%ないでしょう。“モダンジャズ”

は今や“クラッシックジャズ”となってしまいました。本場のアメリカですらジャズはかつての圧倒的な熱気

放った“革新的音楽”の地位のものではなくなったように見えます。もちろんジャズが消滅してしまったわ

ではありません。いわば成熟して、数ある音楽ジャンルの一つとしておさまったというようなことかも知れ

せん。あるいはかってのチャーリー・パーカーのような“天才”がまた出現して“第二のモダンジャズ”

を生み出さないとも限りません。しかしこれは誰にも予測ができないことだと言わざるを得ません。私として

は長年慣れ親しんだモダンジャズをこれからもノスタルジックに聞き重ねていくだけです。

<今日のジャズはマイルス・デイビスの「Rated X」とオーネット・コールマンの「Snowflakes And Sunshine」です。

ジャズの持つ革新性がたどり着いた極北点のような曲です>

http://www.youtube.com/watch?v=mrjFtbGKqFk

http://www.youtube.com/watch?v=y09k4zyIfO8

スナップは、梅がほころび始めた鎌倉の荏柄天神社(えがらてんじんじゃ)でのものです。

頼朝が幕府の鬼門の鎮守として建立した神社で祭神は菅原道真です。そこに近年の漫画家

寄せたカッパを描いた「絵筆塚」があり、私が好きだった「はらたいら」さんを探した

のですが見つかりませんでした。根回りの幹の直径が2mはあろうかという大銀杏の木も

ありました。

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コメント

こんばんは☃
こちらは一日雪が降り続いていますけれど
積もってはいないのです
皆空さんの所はどうですか。
寒いので風邪を引いたりしないで下さいね♪

このシリーズも35ですかびっくりですね
凄いです♪昨年ジャズ喫茶を教えて頂き行きたいなぁってずっと思ってて
その後ハチを書かれるようになり、ああこれがジャズなのねって少し思うようになりました
有り難うございました(*^_^*)

写真の河童を書いた絵筆塚面白いですねshine
じっくり見ていたくなりますconfident
銀杏の大木も凄いですね

こんばんは。
ブログのインターバルがna noriさんも私も間延びしてますね。
私はこれは今のテーマの行き詰まりだと思い、別のテーマに移行する
タイミングだと思ってます。‥‥次は何にするか決まってないにしても。
新しく何かの問題意識が芽生えたらそれを育てて、ある程度形ができ
たら書き始めるという具合でしょうか‥‥もちろん終わりまで見通せて
いるわけではないのですがね。(;´▽`A``
いっぱしのエッセイストの積もりですねsign01coldsweats01sweat01sweat01
まあ、na noriさん、マイペーで行きましょう。shinegood
ジャズも半年お付き合いいただき、“勘どころ”も掴めたでしょう。今は
YouTubeで(タダで)いくらでも捜せますから便利ですよ。昔のような親
切なラジオのジャズ放送はなくなり、ジャズ喫茶もなくなりましたがね。
あとは自分の好みを追求して行けばいいんです。noteslovely

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