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2014年7月20日 (日)

「紫の上」‥‥若紫(2)

この箇所に限らず、源氏物語には男が女の姿を覗き見るという場面が描かれることが多々あります。それは、垣

根越しであったり、簾(すだれ)越しであったり、屏風の隙間からであったりと色々なのですが、今の時代の基

準で言えば、覗き魔、痴漢、変質者、ストーカーの類になってしまうでしょう。しかし、これは一言で言えば、

この1,000年間という時代の隔たりに基づく、社会環境、生活習慣の差異によることなのです。男と女が会合す

る(交際をする)機会というものは時代によって様々な形があったことは間違いないとすれば、今の基準で昔の

慣習を測ることは誤った解釈につながるでしょう。現代ではごく当り前の、郵便葉書、電話、PC・携帯メール

といった簡便な意思伝達手段はなかった時代なわけですから、それはどうしても直接的な方法にならざるを得な

かったでしょう。ただ、卑俗から高貴までの身分上の絶対的格差が存在していた世の中で、自分単独の行動でな

ければ、例えば高貴な身分の者がそのような会合の機会を持つためには、間を取り持つ役目をする身内がいたり、

供人がいたり、お付の女房がいたりするのが普通であると思った方がいいでしょうし、世間全体においては、

それこそ自由な形から格式張った形まで多種雑多なやり方が行われていただろうと想像することはそう難しいこ

とではないでしょう。そして“覗き見”と言っても高貴な人の場合はそれをいざなう者が必ずいた点は忘れては

ならないことなのです。この物語に登場する多くの“好き者”達の振舞いの評価はすべてこのことを念頭に置か

なければなりません。つまり、犯罪者心理のような“後ろめたさ”とは無縁だったのです。

 親王である源氏の覗き見もほとんどがこのパターンで、いわゆる“出歯亀”をイメージしたらまったくのピント

外れです。そして北山の僧坊であどけない少女を覗き見た今回のケースもまさにこれだったのです。その少女は

自分が育てていた雀の子を遊び友達が逃してしまったことを悔やんで、母親のような尼君に駄々をこねたところ

だったのです。それを見た源氏の印象が次の様に語られています。

《つらつきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざしいみじうう

つくし。ねびゆかむさまゆかしき人かな、と目とまりたまふ。さるは、限りなう心を尽くしきこゆる人にい

とよう似たてまつれるがまもらるるなりけり、と思ふにも涙ぞ落つる》

(顔つきが実にいじらしく、眉のあたりがほんのりと美しく感じられ、あどけなくかき上げている額の様子、

髪の生えざまが、たいそう可愛らしい。これからどんなに美しい大人になっていくのか、その様子を見届け

たいような人よ、と君はじっと見入っておられるのです。それは実は、自分が限りなく深い思いをお寄せに

っている方に本当によく似ていらっしゃるので、どうしても目をひきつけられてしまうのだ、と思ってい

うちに涙がこぼてしまったのです)

 実は、この少女は幼くして母親に先立たれ、今は祖母の尼君に育てられていて、尼君の兄の北山の僧都

(そうず:僧正に次ぐ地位)のもとに身を寄せていたのです。その少女の父親というのが藤壺の宮の兄で

ある兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)だったわけで、少女は藤壺の宮の姪に当たるので、二人が瓜二つ

なのはまったく頷ける話だったのです。

<植物園には珍しい花が少なくありません。カシワバアジサイ、ウバユリ、ハマボウ等は初めて見るも

のです。ムクゲ、ヤマユリはご存知の花ですが。>

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コメント

こんばんはnight
夜も寝苦しくなってきました
昔は、電話も無い時代ですもんね
伝える方法は文と直接しかないので納得も出来ますね
それができなくてどうしようもない人たちは沢山いたのですけれど、
出来るって、やはり源氏だなぁ
少女は藤壺の宮の姪だったのですね~~(#^.^#)
それで似ていたのも納得♫
縁があるって感じですね(*^_^*)

色々な珍しい花が沢山有るのですね
紫陽花は、ひょっとしたら、私が行ったあじさい園に逢ったかも知れませんね♪
これからも暑い日が続きますので十分、身体を労わって下さいね♪

こんばんは。とうとう梅雨が明けましたね。
今年は仕事柄か、例年以上に暑い空梅雨だったような気がします。
昨日(22日)は私達の歓迎会(遅い!)を兼ねた暑気払い(飲み会)でした。
紹興酒をやや飲み過ぎて、今日の午前中は梅の木の上で剪定をしながら
ウトウトしていました(一度落ちそうになりました)。thinksleepy bearingsweat01

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