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2014年8月 9日 (土)

「紫の上」‥‥若紫(4)

 宮中に戻った源氏が北山の人々(僧都、尼君)にまたお手紙をしたためて、幼い若君(後の紫の上)をなんとか自分の元

に引き取りたい意中を懇切に伝えようと消息を送ったりしていた丁度その頃、藤壺の宮は体調を少し崩したために三条の

自邸にお下がりになったことがありました。それを伝え聞いた源氏はせめてこのような折にでも宮に何としてでも逢えない

ものか気もそぞろの有様となり、あろうことか宮のお付の女房の王命婦(おうみょうぶ)に手引きを強く迫ったのです。すると

命婦がどのように謀ったのか、源氏は藤壺の宮との逢瀬を持つ機会を得たのです。宮はこのことを運命的な痛恨事とただ

思いながらも、優しく情がこもった所作はやはり格別なところの人なのだと感じさせるばかりなので、源氏はそのような思い

のたけのすべてを語り尽くそうとしても、あまりに夜は短かく夢の様な時はあっと言う間に過ぎ去ってしまったのです。

そして、後には宮も源氏も犯した不義の罪の大きさに思い至ると、ただ恐れおののくばかりなのです。‥‥その時に交わし

た歌は、

源氏 《見てもまたあふよまれなる夢のうちに やがてまぎるるわが身ともがな》

(こうしてお逢いすることができてもまたお目にかかれる夜はめったにないのですから、いっそこの夢の中にこのまま紛

れ消えてしまいとうございます)

藤壺 《世がたりに人や伝へんたぐひなく うき身を醒めぬ夢になしても》

(後々の世までの語りぐさとならないでしょうか。たぐいなくつらいこの身を覚めることのない夢の中のものとしましても) 

そしてこの後このような逢瀬の機会は二度となかったのですが、しかしやがて藤壺の宮はこの時の逢瀬で懐妊してしま

ったことを悟るのです。

  ここまで読むと、光源氏の君というのは、子供の頃から慕ってやまない藤壺の宮との逢瀬を果たし思いも伝えることが

出来ただけでなく、藤壺に瓜二つの少女(紫の上)を自分の養女として手元に置きたいと望んでいる(やがてそれも果た

されます)という、何と言う身勝手な(性的な)暴君なのかと感じてしまいます。しかもそれだけでなく、すでにこの時まで

に空蝉(人妻)、夕顔(元は頭中将の愛妾)等との逢瀬もしている(どれも中途半端、あるいは破綻の形で終わっている)

のですから。紫式部が描こうとしている“理想的男性像”とは今の基準では“とんでもないドンファン”だと言って間違い

ありません。もちろん現代と異なり当時(西暦1000年頃の平安時代)は一夫一婦制もなく、地位とお金がある男は複数

の女性を愛人とすることが許されていたのですから、今の基準を単純に当てはめてことの良し悪しを判断してはなりま

せん。しかし、そのことを起因とする様々な痴情事件を書いているのが「源氏物語」であるという側面がある点も確か

なことです。‥‥いったい紫式部はこの物語で何を伝えようとしたのでしょうか。‥‥いや、短兵急な結論を求めよう

としたらこの物語を読み解くことは出来ないのでしょう。どこまでも根気良くこれを辿って行かなければならないのです。

<酷暑の中でも可憐な花は咲いています。ナツズイセン、ニチニチソウ、ノウゼンカズラ、ハスなどです。‥‥スマホ

ではピントがもう一つですが>

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コメント

こんばんはnight
お盆も開けました
いかがお過ごしでしたでしょうか(#^.^#)
酷暑も一時的でこちらでは雨が降る毎日やはり冷夏の様です
雨が降らなかった今日は照りつけるような暑さ…
そしてまた、雨の降る日がやって来そうです(^_^;)

異常な気候の中、季節の花たちはちゃんと咲いてますねtulipclover
皆空さん残暑も、お身体ご自愛ですよ~

na noriさんへ
ご返事遅れてすみません。ちょっと山歩きしてましたもので。
今朝テレビのニュースで知りましたが、広島で豪雨災害がありたくさんの
犠牲者がでたとのこと。お悔やみ申し上げます。
南アルプスはこの夏一番の好天で、満天の夜空に輝く星々に50年振り(!)
の感慨に浸りました‥‥光陰矢の如し‥shinethink

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