« 「紫の上」‥‥若紫(7) | トップページ | 死刑廃止(2) »

2014年9月24日 (水)

死刑廃止(1)

何年か前に日本でも死刑廃止論議が起こったことがありました。国連から日本に対して「勧告」のようなことが

行われ、それをきっかけにしたことだったように思います。その時は、国内で本格的議論をするには“時期尚早”

で、今後の検討課題とするという形で収拾されたと記憶しています。国論を二分する大論争まで行かなかったと

思います。日本は死刑制度がある国ですから、このこと自体は事実上、死刑制度は賛成という意思表示であった

と言っていいでしょう。‥‥私は、この死刑廃止論議は今後何度も蒸し返されてくる問題であるように思います。

そうであれば、今から十分時間を費やしてこの論議を積み重ねておくことは決して無駄なことではなかろうと考

えます。日本人にとって、憲法改正(特に憲法第九条の見直し)が、国内的のみならず国外的にも容易ならざる

“高いハードル”となっていることに比較すれば、死刑廃止論議の方がまだ冷静に議論できるテーマであるよう

に思えるからです。憲法改正よりはよほど政争的利害関係から離れた形の論議が出来そうだからです。いわば

“世の中が平和の内に”論議を詰めておいた方がいいと言っても反対する人は少なかろうと思うのです。

 そこで、ここでは死刑制度廃止に対する典型的な賛成論と反対論を述べてみようと思います。両論併記するの

は、どちらも“筋の通った正論”が可能だからです。私の個人的な立場は最後に述べようと思います。

 

 

Ⅰ.死刑廃止について(賛成論)

 

 死刑廃止の本質とは何であろうか。それは人間が法の名において殺人を行なうことに対する道徳上の躊躇以外

の何ものでもない。「人を殺してはならない」ということが絶対不可侵の人間道徳の根本的原則であるなら、

による刑罰と言えども殺人(死刑)が許されないのは理の当然であろう。もちろん死刑だけでなく、戦争の殺人、

安楽死、嬰児堕胎、等も同じ資格で許されないことになろう。現在、民主主義が全世界の90%(?)を覆うまで

に普遍的制度に定着した状況下の死刑廃止の趨勢は、道徳的・人道主義的な人命尊重の考え方が根底にあること

は疑い得ない。民主主義・人道主義・人命尊重は同一線上に置かれるものと言っていいからである。

 それでは、何故人を殺すことが道徳上許されないのであろうか、あるいは人を殺すことを許さない道徳とは何

であろうか。言うまでもなく道徳とは人間が考えたものである。自然科学の法則や、経験とは無縁な(ア・プリ

オリな)人間の本能と位置付けられるようなことではない。つまり人間が発見する法則といったものではなく人

間が作りだした原則なのである。それは「神」の観念に劣らない至上の地位に置かれる「決めごと」と言えるも

のであろう。

 死刑は社会の維持存続の上での要請としての制度、基本的には殺人罪(国によっては政治犯罪や麻薬犯罪に課

される場合もあるが)に課される極刑として存在するものと言える。ところが、死刑の存在理由そのものから出

てくるのが死刑廃止であるとも言えるのである。何故なら上記の道徳的「決めごと」こそ社会の維持存続のため

にあるものだからである。つまり、死刑は人を殺してはならないという「決めごと」に本質的に矛盾することに

なるからである。人を殺してはならないという根本原則に違反した人をやはり殺してしまうことに矛盾があるの

は、子供でもそれと感じる矛盾であろう。そして社会における最も重要な「決めごと」に例外事項を設けたの

では、最終的にはその「決めごと」に対する信頼性は失われて(或いは低下して)しまうであろう。その結果

「決めごと」が事実上決めごとではなくなってしまえば社会に混乱が生じ、結局その社会の維持存続は危うくな

るであろう。つまるところ死刑廃止は民主主義社会から民主主義を維持するため論理的に導かれる要請なのである。

 従って、死刑廃止に異を唱えることは逆に民主主義を否定することに繋がるものだと言えるだろう。昨今の死

刑廃止論議において死刑廃止反対論を唱える人がこれを意識しているであろうか。それは極めて疑わしいと言っ

ていいだろう。彼らの口から出てくるのが道徳論議であったためしがなく、例外なく被害者を慮った感情論に終

始しているものだからである。それは古来からある「目には目を」の素朴的懲罰主義の発想から一歩も出ていな

いものであろう。そして繰り返して言えば民主主義と素朴的懲罰主義とは決して両立できないものなのである。

 

<夏の暑さも一段落したとき、目に入る白い花はことのほか疲れを癒してくれますね。ジンジャー、

センニンソウ、ヒガンバナ、等など‥‥>

Photo2

Photo_2Photo_3

Photo_4Photo_5

Photo_610














« 「紫の上」‥‥若紫(7) | トップページ | 死刑廃止(2) »

心と体」カテゴリの記事

コメント

こんにちはsun
気持ちの良いお天気が続いていますね(#^.^#)

死刑廃止。
人の命を見るに堪えない方法で奪った人、
奪われた身内の方はキッと同じく、法が裁いてくれるはずと・・・
中には最愛の人を奪われたら、同じ目に合って欲しいと・・・
人の命を命と思わず、簡単に殺める人たちは許せない
死刑を望むと言うのは、同じ事をしようとしている事
分かってはいるけれど、すぐには答えを出せない
心の傷が深いですね。
反省をして出て来て人生やり直して欲しいと思っていても
同じことを繰り返す人も・・・
人の心は難しいですね
罪は犯さないでほしい、人を裁くのって難しいです。

今晩は。
10日ほど前に仕事で右手薬指を突き指しまして、痛みが消えないので
翌日病院に行ったら、脱臼してました。‥‥今は仕事もほぼ元通りにな
りましたが、若い頃もっと激しいスポーツやってる時でもこんなことはあり
ませんでした。‥‥年を感じます。‥‥オット、死刑の話でしたね‥ウ~ン
これは難しい話で、今から反対論をブログに載せます。‥‥多分これも
真の結論は出ないテーマだと思いますが、現実に法律で決めて適用して
いかなければならない人間社会の最重要問題でしょう。今まで起きている
世の中の事件、問題の全てはこの難問に凝縮されるような気がします。thinksweat02

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1627554/57481006

この記事へのトラックバック一覧です: 死刑廃止(1):

« 「紫の上」‥‥若紫(7) | トップページ | 死刑廃止(2) »