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2014年11月 6日 (木)

「六条御息所」‥‥(2)

夕顔の巻の冒頭で六条御息所という女人の存在が曖昧な形で紹介されました。そしてある夏の夕方、源氏が御

息所のいる六条邸へ向かう途中で、今は五条に住み病に臥せっている源氏の老乳母を見舞った折りに、たまた

まその近くで隠れ棲むように暮らす夕顔(実は行方をくらました頭中将の愛人)の住み家を覗き見ます。やが

これが縁で夕顔と抜き差しならぬ仲になるのですが、この時は源氏が六条邸の御息所を訪れるだけの場面な

です。しかし、ここでも源氏と御息所の二人が語らう親密な逢瀬といった描写はなく、ただ

「御心ざしの所には、木立、前栽などなべての所に似ず、いとのどかに心にくく住みなしたまへり。うちとけ

ぬ御ありさまなどの気色ことなるに、ありつる垣根思ほし出でらるべくもあらずかし。‥‥」

(お目当ての所では、木立や植込みなどが、ありふれた所とは違っていて、いかにもゆったりと奥ゆかしくお

住まいでいらっしゃる。女君(御息所)の近寄りがたいご様子などが、格別の風情なので、先ほどの夕顔の垣

根などすっかりお忘れになってしまわれる。‥‥)

という調子なのです。つまり、源氏は高貴で端正な御息所の前では緊張しっぱなしで、夕顔を思い浮かべる

余裕もなかったというだけで、御息所の強い怨念が生霊となるという恐ろしい話にすぐなるわけではありませ

ん(源氏の性格は、葵の上に対する時もそうであるように、高貴で気位の高い女性の前では気後れするのです)。

 様子が一変するのは、秋に入ってから夕顔が新しい通い人となり源氏が耽溺するようになった頃です。まず、

源氏と六条御息所の関係の心理的状況から説明すれば、当初こそ源氏からの求愛に対し御息所がなかなか応じ

なかったものの、やっとのことで口説き落とされ思い通りになった後は、どうしたことか打って変わって、源

氏の君の方にひと頃の一途な気持ちが薄らいでしまったのに対し、もともと極端に思いつめる気性の御息所の

女君の方は反対に、源氏の君が夜通ってくることがめっきり少なくなってからというもの、夜の寝覚め寝覚め

に様々な物思いでうちしおれているという有り様だったのです。このようなことが度重なるうちにいつしか御

息所の心に怨念がわだかまり、これが本人には気が付かれないまま生霊として身体からさ迷い出ることになる

のです。そしてこの生霊は怨念の矛先が向けられた別の女人の枕元に纏わりつくのです。

<こども植物園の秋咲きのバラです。実は春にも咲いたバラです。>

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コメント

こんばんは♫
今日はとってもきれいな満月ですよ~
見れてますか~fullmoon
立冬ですね。暦ではもう冬早いです(・。・;

怨念が生霊となる、世にも不思議な物語ですね
生霊となるくらいの気持ちを持てるって凄い事ですけれどちょっと怖いですね
激しく人を思う…矛先が他の人に加わらなければ問題ない話ですね♫
生霊でなくても今の時代にも言える事かもしれませんね

こんにちは。
夕べは満月でしたか~。曇っていたから見れませんでしたけどね。
冬の兆しは仕事柄感じています。落ち葉が木枯らしに舞ってる様子とか、
草地でよく見かけた青大将が姿を隠したとか‥‥。gawksign01
源氏物語は高貴な人の寵愛を受ける女人が、他の女御や更衣達の嫉妬・
憎しみを一身に受け気に病んで苦しむという話からはじまります。源氏の
生母の桐壺更衣がこれで亡くなったのでした。これは中国の説話や歌伝
をよく読んでいた紫式部だから書いたのかも知れません。あるいは怨念が
生霊となってさ迷い出て人にとり憑くと、この時代では考えられていたのか
も知れません。言葉には言霊(ことだま)が宿り、森の木には木霊(こだま)
が宿っていると考えていたのですから‥thinksweat01sweat01

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