« 「六条御息所」‥‥(5) | トップページ | 「六条御息所」‥‥(7) »

2014年12月11日 (木)

「六条御息所」‥‥(6)

六条御息所がからむ、おぞましいもう一つの話をする前に、人間の怨念が“生霊”として身体を離れ、他人に

作用(危害)を及ぼすような、いわば“念力”とでも言うようなものを、どう紫式部は考えていたのか見てみ

ましょう。少し理屈ばるかも知れませんが‥‥

 普通、怨念が生み出す生霊というような話の場合には、恨みの対象となる人を亡き者にしたいという思いを、

自分に成り代わって、自分の分身である生霊が果たしてくれる、という形を想像するのではないでしょうか。

ところが、源氏物語において紫式部が描くのは、御息所本人は自分の生霊が出現するなどという意識はなく、

まして、その生霊が人に危害を加えて殺してしまうなどとは、思ってもいなかったということなのです。

このことは注意深く考える必要があると思われるのです。つまりあくまでも、御息所は怨念を晴らしたいと

はっきり意識してはいないにもかかわらず、人の及ばない何かの力の働きにより、これが果たされてしまう

という具合に書かれているのです。もちろんこの物語の中で、御息所の生霊らしきものが登場し、(例えば

夕顔が)それによって命を奪われてしまう光景が、確かに描かれています。しかし、その場面でどのような

力が具体的に作用して命を奪ったのかまで詳しく説明している訳ではありません。生霊に取り憑かれてしま

う人間も寝ているうちに(つまり無意識のうちに)命を奪われてしまうのです。そして、当人もなぜそんな

ことが起こるのかは不明のままなのです。従ってこの点は、あからさまに幽霊を登場させる、他の多くの

「怪談物語」と微妙に趣が異なっていると言えるのです。あるいはこれは紫式部一流の怪談の語り口と言っ

ていいのかも知れません。六条御息所の話とは別の物語の箇所においても、“霊”が登場するのは概ね、夢

の中に出てくる形で語られています。さらにまた、夢のお告げで人の将来の運命を占うということが、色々

な場面で描かれているのです。逆に、普通に覚醒している人に、“霊”が直接作用を及ぼすという場面など

はまったくありません。“霊”が及ぼす作用というものは、人が醒めている時に起こることはなく、眠って

いるうちに、ただ夢の中でのみ及ぶという風に描いているのです。

‥これは紫式部のこだわり、言い方を変えれば、見識であったのかも知れません。この長編小説においては、

源氏を始めとする色々な登場人物が、それぞれの運命にたいへん翻弄される人生を歩む話が続いていきます。

その運命を左右する上で、どうあっても重要視せざるを得ないのが、霊界や天界による働きといった、人間

の力の及ばないものだと言いたかったのだと思います。

‥これは四書五経、漢詩、仏教の知識に加え、とりわけ和歌に関わる豊富な素養を重ねてきた、紫式部の精

神的到達点だったのだろうと思います。

【ついでに言えば、このような逸話は、1000年も昔の時代特有のことだとは決して言えません。現代でもこ

ようなことを「超常現象」と呼んで、世の中には科学的な解明の及ばない(常識では説明することのできない)

摩訶不思議な現象が存在するのだとしています(ただ、それを信じる人もいれば、信じない人もいます)。霊

能者の話や、UFOの話もこの類に属すでしょう。近年でも、幾つかの先進国が巨額の費用を投じてこの「超常

現象」の解明を試みたことを聞いたことがあります(今の所、解明できたという話はないようですが)。】

<児童遊園地、こども植物園の紅葉の様子です>

Dsc_2147Dsc_2148

Dsc_2149Dsc_2153

Dsc_2164Dsc_2166

Dsc_2168Dsc_2171




















夕顔はおはてきますすでうすでんな

« 「六条御息所」‥‥(5) | トップページ | 「六条御息所」‥‥(7) »

心と体」カテゴリの記事

コメント

こんばんは♬
今日は一日雨でしたけれど、それほど寒くは無かったようです(*^。^*)

摩訶不思議な現象を体験した事が無くって実際本当に有るのかなって思うのですが
不思議な情報はTVの中で見る程度ですが
体験している方もいらっしゃるのでしょうね
今の時代でもそう言う話があるのですから、それぞれの時代に合った怪奇的なお話が有っても不思議では無いのかも知れませんねcatface

紅葉も秋から冬へに成っているように、少し寒そうに思えるお写真ですねmaplemaplesnow
インフルエンザも流行っていますので、くれぐれもご自愛くださいね~

今晩は(お早うございます?)。
夕べは、鎌倉のカルチャー教室で精進料理を頂いた後、忘年会でした。
出かける時は雨でしたが、寺(光明寺)を出る頃には雨は上がりました。
材木座の海岸へ出ると、大勢のサーファーが、少々荒れた海で、気持ち
良さそうに波乗りをしてました。私もサーフィンくらい‥と思ったのですが、
まあ、年寄りの冷や水で、土左衛門となるのが精々でしょうねhappy02アチャー
‥‥六条御息所の生霊は、今度は葵の上に取り憑きます。

Mr. pw126254086086.8.panda-world.ne.jp ‥‥‥Who are you ? 
最近、私のブログへ圧倒的なアクセスを頂いていますが、できれば何かコメントを
賜って頂ければ僥倖です。無理な(変な)要求かも知れませんが、これだけ眺めた
ら何かしらの感想というようなことが、おありになるんじゃないかと思いました。
さらに勝手に申し上げれば、なるたけ厳しいコメントを賜れないかと思います。
例えば、「お前の言っていることは、間違いだらけで、読むに堪えない」とかで結構
です。‥‥やはり贅沢な要望ですかね?

こんばんは
益々寒く成りそうですね☃
私の所へのコメントこちらにお返事させて頂きますね♬

調べてみました
これはiPhoneでテザリングした際に使用されるドメインらしいです。中国のハッカー集団では無いようなのですが、
.panda-world.ne.jp がソフトバンクのiPhoneからの閲覧IPのようです
.panda-world.ne.jp で検索すると詳しい事が出てきました。
私は閲覧履歴を見ていないので分かりませんけれど
コメントが入ればIPアドレスを拒否する事が出来るのですけれど
調べてみても閲覧だけでは無理の様です。
後は、どのブラウザを使っているのか、PCかスマホなのかによってもIPは変わりますので
結構難しそうですね私がiPhoneから見ている時は60で始まってました。

ps 私のコメントへのIPの部分だけ削除させて頂きました
御免なさい。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1627554/58233486

この記事へのトラックバック一覧です: 「六条御息所」‥‥(6):

« 「六条御息所」‥‥(5) | トップページ | 「六条御息所」‥‥(7) »